ルイヴィトンヴェルニバッグ新作
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null「火は鎮まった。もう大丈夫と思うが、もう一度だけ、お城を回ることにしよう」  再び巡邏に出発すると、外桜田の辺りで、五十名余りの一団と出会った。  双方とも、高張提灯を高くかかげて、馬上の隊長の顔が見えるようにした上、名乗る。 「講武所奉行沢左近|将監《しようげん》」  と名乗った対手が、精一の名乗りを聞いて、愕きの眼を見張った。ひげづらで、それとは分らなかったせいもあるが、閉門中無断で出動してきたことに対する愕きの方が大きかったに違いない。 「高橋か——思い切ったことをしたな、覚悟の上か」 「もとより」 「さすが——高橋」  馬上うなずいて去っていった沢将監は、その足で酒井雅楽頭の邸に向い、雅楽頭に対して、  ——高橋こと、閉門中の制禁を犯しましたが、ひとえに誠忠奉公の心から——何とぞ御寛大な処置を、  と、訴えたと言う。  高橋、山岡の一行は、無事、城外警邏の仕事を果して、屋敷に戻る。  もう、十六日の夜明けが近い。  霜柱の立つ庭に足をふみ入れた時、精一も鉄太郎も、はっきり覚悟していた。  ——お咎めの上使は、間もなく見えるだろう、立派に腹を切る、  家で待っていたお澪もお英も、それは知っている。  ——からだを浄めなければ、  と、湯を立てていた。